◆キッティングサービス事例紹介

※本事例は三菱電機株式会社発行IT情報冊子「MELTOPIA」2025年3月号の記事からの抜粋です。


(概要)年間200台のPC のキッティング作業を社内情報システム部門内の業務の一環として実施されていたお客様が、当社に同業務をアウトソーシングすることで、繁忙期の作業負荷を3 分の1に軽減する効率化を実現しました!


■年間200台のPC入れ替え作業により情報システム部員の負担が増加

内線事業、社会インフラ事業、送電事業、販売事業を展開し、従業員600名以上を全国の本支店に配置するお客様では毎年約200台のPCの入れ替え作業が発生しています。 作業は情報システム部の部員4名が担当し、PCを利用する従業員それぞれの用途にあわせた設定やアプリケーションのインストールなどのキッティングを行ったうえで配付しています。これらの作業は毎年1月~3月の3ヵ月間に集中するため、繁忙期になると部員への負担が増加します。 その結果、情報システム部が本来担当するべきシステムの開発・運用、ネットワークシステムの環境構築・運用、情報セキュリティ対策などに割く時間が削られてしまうことから、 同社はアウトソーシングによる工数削減を検討しました。アウトソーシング導入の背景について、同社情報システム部 部長は次のように語ります。

「キッティングの環境整備を進めてきたものの、繁忙期の3ヵ月間はやはりキッティング作業に多くの人的リソースは必要です。そこで、本来業務に集中するために、キッティング作業のアウトソーシングを決断しました」


■三菱電機グループの信頼と実績、セキュリティを担保した専用線敷設を評価

複数のアウトソーシング先候補を比較検討した結果、2018年末にMTYを選定し、2019年1月~3月にかけて更新する約200台のPCのキッティング作業を委託しました。 MTYを選定した理由は、セキュリティを担保した形で専用回線の運用ができることに加え、三菱電機グループ企業としての信頼と実績にありました。

「PCの入れ替えに伴う各ユーザーの個別設定の手間を省くため、当初からドメイン環境とアウトソーシング先を専用回線で接続し、個別設定自体も委託することを想定していました。 しかし、専用回線で外部と接続することは、情報セキュリティ上の懸念があります。その点、三菱電機グループの厳しいセキュリティポリシーが適用されているMTYであれば、安心して任せられると判断しました。 三菱電機グループ内のキッティング実績があることも決め手の一つとなりました」

マスターPCの作成・検証からクローニング、個別設定、予備品管理、PC廃棄まで、PCのライフサイクル全般を支援するMTYのキッティングサービスにおいて、同社がMTYに委託している作業の領域は以下の通りです。

更新するPC約200台分の調達とMTYへの配送手配、マスターPCの作成・検証までは同社が行います。MTY側ではPCへのクローニングと個別設定を行い、指定された拠点への配送を手配します。 MTYが担当する業務のリードタイムは約2週間です。キッティングを行ったPCがお客様の各拠点に到着した後、旧PCから新PCへのデータ移行や、CADなどの特殊なアプリケーションのインストールはユーザー側で行います。 PCの利用開始後の予備品の管理や故障対応なども同社の情報システム部の担当です。

「基本的には当社が作成したマスターPCと個別設定用の指示書をMTYに送ってから作業が始まる流れです。まずはマスターPCからPC1台へのクローニングと個別設定を行い、検証用PCを作成していただきます。 こちらで問題がないことを確認した段階で全てのPCへクローニングを行い、ユーザーごとの個別設定を実施していただきます。設定が完了したPCは、当社が指定したスケジュールにあわせて配送事業者の手配をお願いしています」


■作業負荷が3分の1に軽減され本来業務への対応時間が増加

お客様は2018年度以降も継続的にキッティング作業をMTYに委託しています。キッティング作業の終了後には毎回2社間で作業手順に対する考えを共有し、作業を効率化するための振り返りミーティングを行っています。

「当初は個別設定を細かく分けて、機器販売部門のPCから工事系アプリケーションを省いたり、工事部門のPCから販売系アプリケーションを省いたりしていましたが、毎年実施する中で、できるだけ共通化することで設定を簡略化し、双方の負担軽減を図っています」

振り返りミーティングでの情報交換で、相互の対応可能範囲への理解が深まり、同社がMTY側に切り出せる作業項目も増え、品質改善も進んでいます。振り返りミーティングの効果について、情報システム部システム課主事は次のように語ります。

「ミーティングの中で出てきた課題に対して、個別設定用のファイルの保管ディレクトリを変えてもらったり、ユーザーからの要望に対応いただいたり、リース用ラベルの貼り付け位置を変えていただいたりと、細かいことにも対応いただいています。 当初は自社で対応していたPCに貼る持ち出し許可シールや緊急連絡先シールの作成も途中からMTYに委託することができ、私たちの負担軽減につながっています」

MTYのキッティングサービスを導入して以降、繁忙期における情報システム部の作業負荷は導入前の3分の1に軽減されました。その結果、情報システム部が本来対応するべき情報システムの計画策定や導入・展開・運営・保守などに対応する時間が増加しています。 キッティングサービスの導入効果については次のように語ります。

「負担軽減により、私がメインで担当している工事会計システムの改修にも集中することができました。情報システム部では、1人が複数の領域を担当しているため、IT機器の調達など、その他の業務にも時間を充てることが可能になりました」


■マスターPC作成業務とサポート業務のアウトソーシングを検討

現在、同社内で実施しているマスターPCの作成業務をMTYにアウトソーシングすることを検討しています。さらに将来的にはPCの故障対応やエンドユーザー向けサポートについてもアウトソーシングを検討しており、MTYからの支援に期待を寄せています。

「全てのサポート業務をアウトソーシングすることは難しいものの、スピーカーなどのデバイス設定といった標準的な問い合わせ対応や、簡単なQA対応などは、MTYにお任せしていきたいと思っています。引き続き、他の三菱電機グループ企業向けのアウトソーシングで培った知見・ノウハウを活かした提案を期待しています」

お客様は、電気を「つくる」から「つなぐ」「つかう」までをトータルサポートするエンジニアリングカンパニーとして、安心・安全で快適な未来を創っていきます。